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「不作法な誘惑」 ステファニー・ローレンス 

不作法な誘惑―結婚の砦〈1〉 (MIRA文庫)不作法な誘惑―結婚の砦〈1〉 (MIRA文庫)
Stephanie Laurens 琴葉 かいら

ハーレクイン 2009-05-15
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<あらすじ *ネタばれあり*>
一八一五年。
ナポレオンとの戦い終えて、七人の紳士が新しい人生に一歩を踏み出した。
彼らはイギリス政府のスパイとして活躍し、社交界とは無縁の生活を送ってきた。
ところが、七人全員が爵位を継ぎ、社交界の結婚市場で注目される存在となってしまったのだ。
七人は望まない結婚から身を守るため、結婚の砦(バスチョン・クラブ)を結成することになった。

トレンサム伯爵トリスタン・ウィームズが、バスチョン・クラブにふさわしい屋敷を用意することになった。
彼はバスチョン・クラブの隣に住む令嬢、レオノーラ・カーリングと知り合いになる。

レオノーラがおじ・弟と住む屋敷に興味を持っている人物がいるらしい。
その屋敷に押し込もうとした者がいるという。
そして、バスチョン・クラブにも…
二人は協力して事件を解決することになった。

<感想>
二十六歳のレオノーラは、当時では相当のお年(笑)。
スパイとしての経験を積み、落ち着いた雰囲気のトリスタンとは、大人のカップルといった様子です。

この年では結婚は望めない。
でも、欲望を知らないまま老いたくはない。
えいやっとトリスタンの腕の中に飛び込んでみると・・・彼は結婚しようと言い出した。

レオノーラには結婚する気は全くありません。
かつて男性に裏切られたからとか、両親が不仲だったから、というような、ある意味分かりやすい理由はありません。
なぜだろう。
どうして私は結婚を拒むのだろう。
自らを振り返るって、とても勇気のいることですよね。
冷静に内証する姿勢はとても好印象でした。
そして、自分なりに解決し、納得した後には、まっすぐに彼の腕に飛び込んで行く!

一方、トリスタンには早急に結婚しなければならない事情があります。
結婚するならこんな人と漠然と思い描いていた女性像があるのですが、レオノーラは全く違うタイプ。
自立していて、自己主張をする女性です。
でも、一度自分に必要なのはレオノーラだと思い定めてからは一直線。
言葉数は少なそうなトリスタンですが、短い言葉の中に思いがこもっています。

ラブラブヒーローというと、デレデレしているヒーローや、ヒロインに振り回されるヒーローを思い浮かべますが(それはそれで面白くてよろしいのですが)。
トリスタンはちょっと違う。
全くデレデレしていないのに、ラブラブなんです。
それってどんな感じ?と思った方・・・ぜひ一読を!

<作品>
「不作法な誘惑」(Mira文庫)
原題:The lady chosen
出版社:ハーレクイン
著者:ステファニー・ローレンス 
発行日:2009年5月(原書2003年)

<スピンオフ情報>
「この身を悪魔に捧げて」:ちらっと出てくるデヴィルことシルヴェスター・シンスターのお話
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「満ち潮の誘惑」 アマンダ・クイック 

満ち潮の誘惑 (ヴィレッジブックス)満ち潮の誘惑 (ヴィレッジブックス)
高橋佳奈子

ヴィレッジブックス 2008-09-20
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<あらすじ *ネタバレあり*>
牧師の娘、ハリエットは化石収集を趣味にしていた。
海辺の洞窟で化石を探していたハリエットは、盗品の隠し場所を見つけてしまう。
早速、領主のセント・ジャスティン子爵ギデオン・ウェストブルックに手紙を書いた。

ある晩、ギデオンとハリエットは窃盗団の一味を捕らえることに成功した。
ところが、満ち潮のため、洞窟の中にとじ込められてしまう。
ギデオンは、ハリエットの評判を守るため、彼女に結婚を申し込んだ。

<感想>
面白かった~!これはオススメです。

ハリエットは、ちょっと変わり者の女性として描かれています。
当時としては婚期を逃した二十五歳で、化石収集に夢中です。

一方、ギデオンは、顔に傷を負った大男として描かれています。
過去の事件のために周囲からはブラックソーン・ホールの野獣と呼ばれ、悪者扱いされています。
ギデオン自身も、汚名をそそぐことに疲れ、悪者ぶっているところがあります。

ところが、ハリエットは噂に惑わされず、ギデオンを信頼し、愛するようになります。
社交界に対して、きっぱりと彼の無実を宣言し、「ブラックソーン・ホールの野獣」と呼ぶ相手には猛然と抗議するハリエット。
ギデオンがメロメロにならないはずがない(笑)。

聡明なハリエットは、ギデオンに意見したり、指図したりします。
了見の狭い男性ならむっとくるところですが、ギデオンはそんなハリエットを見て楽しんでいるようです。

本人は意図していない、自分らしく振舞っているだけなのに、周りが変わる。いつのまにか、周囲の人間関係も好転し、誰もが幸せな気分になる。
ジュリー・ガーウッドのヒストリカル・ヒロインもこのタイプですが、現実には難しいことだからこそ、ヒロインがとても魅力的です。

窃盗団がどうとか、ハリエットの家族がどうとか、もうどうでもいい(笑)。
ハリエットとギデオンのやり取りだけで、充分に楽しめる作品です。

<作品>
「満ち潮の誘惑」(ヴィレッジブックス)
原題:Ravished
出版社:ヴィレッジブックス
著者:アマンダ・クイック 
発行日:2008年9月(原書1992年)


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「瞳をとじれば」 エロイザ・ジェームズ 

瞳をとじれば (ライムブックス ジ1-2)瞳をとじれば (ライムブックス ジ1-2)
エロイザ・ジェームズ 木村みずほ

原書房 2008-02-10

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<あらすじ *ネタばれあり*>
一八一六年。
スコットランドの子爵令嬢、テレサ(テス)・エセックスは、三人の姉妹とともにイングランドにやってきた。
父親が亡くなり、ホルブルック公爵が四人の後見人となったのだ。

競馬にのめりこんでいた父親が残したのは、一人に一頭ずつの馬のみ。
好ましい結婚相手など見つけられそうもない。
父親と同じような競馬狂以外は・・・

予想外なことに、テスにとても好ましい結婚相手が現われた。
ホルブルック公爵の友人、メイン伯爵ギャレット・ランガムだ。

ところが、メイン伯爵は式直前にテスを残して立ち去ってしまった。
代わりにホルブルック公爵とメイン伯爵の友人、ルーシャス・フェルトンが花婿として名乗り出た。

<感想>
エセックス姉妹・シリーズの第一作目。
長女テスのお話です。

一冊ずつ読んでも分かるようになっているとのことですが、私は四冊で一つのお話になっていると思います。
第一作目のテスとルーシャスが主人公ですが、このシリーズに主要人物がほぼ全員登場する上に、第二作目以降の複線となる話題・事件が次々と起こります。

そんなわけで、テスとルーシャスのロマンスが進展するのは後半に入ってから。
二人のロマンス自体はすっごくラブラブでよかったのですが・・・
短い!
これじゃ、物足りない!

ルーシャスの両親との確執なども、随分と駆け足でした。
省略している部分もあるのかもしれません。

ラブラブに到達するまでの200ページ。
ちょっと長かったかな~。
ただ、200ページの価値あるロマンスではありました(笑)。

<作品>
「瞳をとじれば」(ライムブックス)
原題:Much ado about you.
出版社:原書房
著者:エロイザ・ジェームズ 
発行日:2008年2月(原書2004年)

<スピンオフ情報>
「見つめあうたび」:次女アナベルのお話
「まばたきを交わすとき」:三女イモジェンのお話
「恋のめまい」:四女ジョージーのお話